shamrock 2 7月15〜16日
  



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2000年 7月15日

行程 : ダブリン → アスローン

 綿シャツが汗臭くなり始めた、と日記に書いてある。どうやら1着しか持っていかなかったらしい。アイルランドでTシャツ1枚で過ごせると思っていたのだろうか。

 それにしてもこの日の日記は・・・「シャワーを今(夜)浴びるか翌朝浴びるか」「シャワーで靴下を洗う数」「日本円をアイリッシュポンドに替えるタイミング」「使い古した下着を捨てたいが、B&Bのゴミ箱では失礼に当たらないか」といったことを悩んでいると書いてあった。どうやらもの凄く充実したひとときを過ごしていたことは間違いない。
 アスローン行きのバスまでにはまだ少し時間があったため、聖パトリック大聖堂 へ。ここは近くのクライストチャーチ大聖堂同様、もともとはカトリックだったのだが今はアイルランド国教の教会である。95%以上がカトリックの国にあって、”国教”ってのも変だが。この教会はジョナサン・スイフトが首席司祭をつとめていたことで知られる。というか、それ以外よく知らない。教会の中もあちこちスイフトだった。
St. Patricks Cathedral

シャノン河 
 アスローンまでの道のりは、アイルランドで初めて渋滞になった。僕は途中でトイレに行きたくなってもの凄い辛いことになっていたが、まあそんな苦難を乗り越えアスローンに着いたときにはすっかり夕方になっていた。ただし夏なので夕方になっても昼のように明るい。

 リフィ河はダブリンの由来通り黒かったが、シャノン河はとても済んだ青だった。アスローンは町全体がこぢんまりして暮らしやすそうな町だった。かつての英国軍の要塞内にあるインフォメーションセンタにて予約してもらったB&Bまで、15分ほど重い荷物を引きずった。
 その日の残りはアスローン散歩。覚えているのは途中で綿シャツを買ったことだけだ。


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2000年 7月16日

行程 : クロンマクノイズバスツアー

 本当はクロンマクノイズには船で行きたかった。しかし曜日が合わなかったようで、インフォメーションセンターが勧めたのは"CLONMACNOISE BUS TOUR"というそのままのタイトルのツアーだった。

 で、16日の朝に城の前でバスを待っていると、女の人が「ツアーか?」と声をかけてきた。そうだと言うと、これからバスと合流するから車に乗れという。なんやらわけが判らなかったが、言われるままにした。あれ?今日はマンツーマンツアーか?などと考えていたら、車はすぐに郊外のランナバウト*で泊まった。そこで待つこと5分、やがて結構大きいバスがやってきた。バス内には既に15人くらいの先客がおり、乗り込むと中の皆にハローと挨拶される。今度の乗客はダブリンのそれと違いやけにフレンドリーだ。

 どうやら車の運転手はこのツアー主兼バスの運転手の奥さんのようだ。それは判るが、このバスはどこから来たのか?どこでこんなにツアー客を拾ってきたのか?何故皆フレンドリーなのか?等の疑問は残ったままだった。
 バスの運転手兼ガイドはかなりフレンドリーな人だ。彼の陽気さとサービス精神で、バスの雰囲気もいい感じで和んできた。僕も久方ぶりに人と話をまともにする事ができた。どうやら彼らはみなアメリカからのツアー客のようだ。ガイドさんはたぶん大口顧客である彼らを優先するためにホテルまで出迎え、本来のバス乗り場であるアスローン城には奥さんを行かせたのだろう。
 しかし、この大口顧客がいなかったら本当に僕一人だったことを思うと、ちょっと怖いな。

 などと思っているうちに、修道院時代の集大成とも言うべき大修道院都市クロンマクノイズに到着した。ここは、グレンダロホやモナスターボイスのような密室感・静寂感よりもむしろ、確かに昔栄えていたことを想像させる、開放感と賑やかさがあった。
 いや実際、ページ先頭の写真のように修学旅行性みたいな集団がおり、すごく賑やかだったのだ。

クロンマクノイズの円塔


ハイクロスと傘
 クロンマクノイズには多くの見所がある。2つの鮮やかにキリスト教義が掘られているハイクロス、いくつもの教会、大聖堂、そして円塔。入り口付近には城まである。大聖堂の入り口にはケルトの豊穣と破壊の女神、シェーラ・ナ・ギグ**と思わしき像の模様がある(らしい。後に堀淳一さんの本で知った)。
 
 さらに奥に10分くらい歩くと、アイリッシュ・ロマネスク形式のアーチがすばらしいナン教会がある。
 しかしナン教会では建物の造りに目を奪われる前に、バスの中で知り合った米女性とおしゃべりしながら、久しぶりに人と話す喜びに浸っていた。

教会ごしに見たシャノンと円塔
 バスに戻り一行が向かった先はBog Tourなる泥炭畑鑑賞ツアーだった。冷静に考えると、泥を鑑賞してどうするんだ、という感じだが、なんかみんな楽しそうにバスからツアー専用列車に乗り換え、窓から移る一面泥炭(ピート)の土地を見ていた。

 泥の畑を泥電車に乗ってしばし進むと、泥の真ん中でみんな降ろされ、そこで泥堀りを経験したりする。なんか言葉で書くと変な世界だが、実際それなりに面白い企画だった。

ピート堀り

泥電車
 ツアーはこの後もなんかいろいろな所を経由した。バスの中では、日本人は馬を生で食うという話をしたりした。アメリカ人は日本人の食文化が理解できんと言っていたが、アイルランドの料理はうまいと言っているアメリカ人の食文化の方がよっぽど理解できん。それは言わなかったが。

 ツアー最後はシャノンブリッジのパブでアイリッシュコーヒーを飲んだ。ツアーとしてはかなり完成度の高い、面白いものではないだろうか。個人的には非常に気に入った。B&Bまで送ってくれたし。
 
 しかし夜になるとまた悩みが襲いかかる。今下着を洗って朝までに乾くだろうかとか、次のB&Bで洗う方が効率的だろうかとか・・・。
* イギリスやアイルランド郊外の交差点には信号機は少なく、ほとんどランナバウトといわれるロータリー式の交差点になる。ルールさえ徹底すればこっちの方が信号よりよっぽど事故が減るように思う。
** シェーラ・ナ・ギグはケルトの創造(豊穣)と破壊の女神である。思いっきり開脚して両手で自らの陰部を開いている姿で描かれる。ある意味最強の攻撃方法とも言える。

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